flight

祈りの歌

いつか知りたいと思っていたことがある
抜け落ちた心の欠片を探した

孤独ってわけじゃないんだけどね
胸の中にぽっかりあいた空白の
理由を知りたい

「逃げた先に何かいいものはあったの?」
そんな言葉が 頭の片隅
なぜか 浮かんできた

世界は自分の思い通りに動くって
そんなこと どこかの誰かが言ってた

僕よりもっと臆病な君だから
いつかいなくなるって
無意識に 考えてたのかも

逃げる先を二人で探したよね
空に島を浮かべて 僕等は楽園と呼んだ

きっと忘れたいと思っていた 責任は自分にもあったから
少しは記憶が残ってるのは 自責の念があるから
きっと自分のせいにしたくなかった ふたりで約束したことなのに
本当に逃げていたやつは 僕自身だった

「逃げた先に何かいいものはあったの?」
そんな問いかけ虚しく空に消えた

今日も空には鳥影ひとつと 島が 浮かんでいる

 

生きてく意味を探した

黄昏時、雨が落ちてた。
出かける気に、なれるわけないよね。

幸も不幸も心の置き場所をどこに決めるかだって、
知っている。
理屈でわかっても、簡単じゃないよね。

どんな苦しいことも、受け入れる“私”だから、
こんな綺麗な白さを保てるのでしょう。

どんな不幸も幸福とする。
そんな狂気さを、持っているから。

味気なさを、感じ続けた、
そんな自分も、無視できてしまうなら。

幸も不幸も、関係ないでしょう。
強くも在れるでしょう。
誰もが持ってる痛みや辛さを忘れてしまうから。

どんな妬ましいことも、受け入れた“私”でしょうか?
どんな悲しいことも、受け入れたのでしょうか?

見ないふり、見てないふりをしてた。
いくつもの、人格を切り離して、
自分だけ、奇麗なまま生きて、
押し付けた、汚れた部分を。

もういらない、こんな完璧さは。
だからお願い、ただいまって言って。
苦しいこと、悲しいこと、
みんなみんな、わたしだから。

普通になった、こんなわたしを、
やはりあなたは、愛すのでしょう。

 

L’abbaye

夜の静寂に 響き渡る足音だけ
こんな場所で ひとり 誰からも観測されずにいた

真っ暗な世界 灯る火ひとつ
いつかの誓い 思い出せば

小さなこの身体でも ひとつでも
守れるものがあるなら

願おう 悔やむばかりの日々でさえ
ましなものだと思えるのなら

流れてく人の 足跡だけを見てきた
数を数えたって 何一つ 意味など持たないだろう

やがてくる朝に抱く幻想
生きてきた日々 振り返れば

僕らが歩いた道が いつの日か
埋もれて忘れられても

祈ろう 欺瞞に満ちた日々でさえ
かけがえのないものなのだと

数多の星に 捧げよう
僕に出来るせめてもの償い

この両手でも ひとつでも
守れるのだと見せてやるんだ

この螺旋の 積み重なる偶然と 幾多の奇跡を

小さなこの命でも ひとつでも
守れるものがあるなら

祈ろう 欺瞞に満ちた日々でさえ
かけがえのないものだと

帰ろう 僕らの罪が いつの日か
許されるときが来たら

さよなら 夜明けと共に
旅立つよ 帰るべきあの
約束の地へ

 

flight

青空を見てた 雲に沈む夢の風景
浮かぶ島の憧憬

ふたりで作った 童話にでてくる空中都市
逃げだすための羽

春が過ぎ夏が近づき 旅立つ日がやってきた
見送る君の顔を見ず 僕は別れを告げた

朝が落ちてきた 僕が望んだ場所
多くの人達が 楽園と呼んだ場所

夜は遠のいた 僕が捨てたから
悲しい出来事が たくさんあった場所

陽が落ちることも 雨が降ることもない幻想の街
ふたりで描いた島

顔を見られなかったのは 泣いてたのを知ってたから
羽がちぎれるほど風を 背に受け大空へと

朝が落ちてきた 僕が望んだ場所
別れのない世界 出会いもない世界

夜は遠のいた 僕が捨てたから
悲しみは消えた 喜びも消えた

僕は弱かった 逃げだしたかった 変化のない世界へ
そこには綺麗な景色と花だけ咲いた

朝が落ちてきた 僕が望んだ場所
地表はもう遠く 戻ることはできない

夜は遠のいた 僕が捨てたから
痛みを噛み締めて 何度も泣いた場所

すべて望んだこと 僕が望んだこと
後悔はしてないよ 本当にそうなのか?

ひとりを望んで 何を得られたんだい
朝が落ちてきた 涙が落ちてった

 

moon

色褪せた世界、目的もなく。
虚しさ隠して、夜に身を委ねた。

はぐれた気持ちと、白い指先。
何かを求め、いつも待ち続けた。

淡く照らす光、影がひとりぶん。
今日も時間だけが、過ぎて。

遠く想いを飛ばした、後悔の日々に。
やがて、時間は巡って、
すべてを洗い流せたらなぁ。

町から町へ、目的もなく。
どこまでいこうか、月を標にした。

悲しい景色でも、笑顔にしてみた。
どうか、許しを求めて。

遠く言葉を紡いだ、忘れたい日々に。
もつれた足を引きずり、霞んだ視界と。

遠く想いを飛ばした、後悔の日々に。
やがて、夜は掬われ、
痛みはもう朝に消えた。

 

聖域

賑やかな声が響き渡る。
影が僕らを追い越してゆく。
僕らはもう孤独ではないんだと、
そう思える日がきた。

 

フロンティア

聞こえたふりで聞き流して、
見えてたようで見えてなくて、
「それなら、どうする?」
それも消えて。

ありふれた、さよならなんだ。
忘れたらそれでもういいんだ。
自分を騙すのは、得意だからさ。

羽は、もう散った。
それなのに、今も僕は。
どんな世界を、望んでるの。

昔、この景色は、緑で覆われてた。
陽が伸び始めて、草木の芽生える季節を、
春と名づけた。

見下ろした、雲の切れ間、
期待した、春の予感。
裏切られて、うつむいて。

羽を、失くしたから、
やり直しは、きかないって、
ずっと、ずっと、途方に暮れた。

昔、この星は、命で溢れてた。
深い青をした、星を覆う水たまりを、
海と名づけた。

昔、地上には、多くの人が住んだ。
地上と天上、その隙間を埋めるものを、
空と名づけた。

あれから、泣き果てて、
気づいたときには、世界は枯れていた。
それから、記憶の中の景色を求めてた。
いつか手放したもの、今更欲しくなったんだ。
記憶を辿り続けた。
視界が滲みはじめた。
きれいな景色を見つけた。
嫌いな自分を見つけた。

さあ仲直りしよう、自分を愛せたなら、
世界は色づき、現象は名を取り戻す。
夢の続きへ。

大気は震えだし、四季は巡りゆく。
時は動きだし、命の種は蒔かれゆく。
世界が始まる。