Spring

残青

星が生まれて 積み重ねてきた歴史を
残さず綴った“本”があるのだと

ずっと先の未来で 滅びた今の文明の
デジタルデータを読めないように

アクセスできない形で残されている
きっと僕はそれに似ている

どんな人のどんな言葉も 拾い集めて残すんだ
もう二度と戻らない日々を 繰り返し作る人々

早起きをして新聞を配る少女
すれ違う少年が後ろを振り返る

どんな些細な出来事も 全部綴るよ
生まれてから今まで

膨大な情報の海に沈み 記し続けてきた
ずっとずっと変わらない青で 染まる景色を愛したから

数えきれない 光と熱量
始まりの夜に 起こった奇跡に
目のくらみを覚えた それが最初の記憶だった

涙で滲んで前が見えない
最後まで目を開けてなくちゃ
吸い込まれそうなほど青い海も
君といた空も 桜を眺めた春も
無限に続くと思ってた目の前の膨大な時間も

いつしか全てが終わりを告げて
僕らの生きた証も消えてく 忘れ去られてゆくけど
それでも憶えておくよ みんなが過ごした
ときに争い ときには手を取り笑った この世界を

 

桃色兎と限りない春

水をやり続けた花が、枯れて、なくなってしまった。
それがとても、悲しかった。

「変わり、変わり、続けることは、とてもいいことだね」
と、昔、友達の猫が言った。
その意味がわからない。

水をやり続けた花が、枯れることはなくなった。
それもなぜか、悲しかった。

桜色した、花びらが、舞い落ちては積もった。
綺麗だなと思った僕は、ずっと、見てたいと思った。

時を、時を、巡ることは辛いことだと思ってた。
流れの外に、残された。
寂しくないと思った。

「変わり、変わり、続けることは、とてもいいことだね」
と、昔、友達の猫が言った。
その意味がやっとわかった。

ずっと、ずっと、忘れていた。
約束を、思い出した。

ずっと、ずっと、夏を待った。
いつまでもこなかった。

 

水と現

冷たい手を取り僕らは駆けた
空は青く 泣きそうになって

落ちた涙が海に飲まれた
ちっぽけな僕らに できることはないのか

揺れる水面 落ちる雫は 行方を追えずに消えた
世界から見れば 僕の行動なんて 無意味にさえ思えた

生きる意味とか そんな哲学 したかったわけじゃなくて
ただ無力さを 呪いたかっただけ 足掻こうとしてただけ

冷たい手を取り僕らは駆けた
空は青く 泣きそうになって

明日がくれば 全部終わって
「なんてことはない」 笑える日を願った

人ひとりに できることには 限界があるのだという
だから誰もが 悟ったみたいに 無理だからって笑った

きれいな世界 そんな肯定 していたわけではないけど
無力ささえも 肯定してしまう それがおかしいと思った

落ちた涙が海へこぼれた
僕らの愛も かき消されるように

後悔だらけの人生なんて 僕は嫌だよ
何を捨てても守るよ

 

交錯する日々

冷たい場所に生まれてきた
僕らの間には深い溝がある

「幻想の繋がり」に名前をつけた
それを愛とか絆とかそんなふうに呼んでた

ひどい言葉をかけて傷つけてた
ずっと人は孤独だと思ってたから

また言葉が生み出されては消え
勇んだ足は行き場を失くした

ある日 星を見て気がついた
僕らの間には冷たい溝がある

でも本当はみんな 宇宙の一部だから
君さえも僕でさえも 孤独でなんかなかった

また言葉が生み出されては消え
勇んだ足は行き場を失くした

また終わった日々へ想いを馳せ
辛いのだって いつものことだから

朝陽が伸びて 春が呼んでいる
新しい日々が 交わり 始める
もう 先へ行こうか

また始まる日々へ思いを馳せ
臆すのだって いつものことだから

時が過ぎて いつか振り返れば
たいしたことないと 思えるのだから

 

Staying Indoors

雨が止む気配はなく 寂しさだけが
呟く言葉は消えた 届くことなく

一人分だけの 儚い空間に
こんな歌だけが 虚しく響く

小さな 小さな 世界で
震える体を抱えて
誰にも知られることなく
交わることなく佇む

一人でも歩けるから 強がってみせた

憶えているかな? 忘れられてないかな?
こんなちっぽけな 僕の存在は

小さな 小さな 世界で
温もり 遠くて 遠くて
怖くて 怖くて 怖くて 怖くて
届けよ 届けよ 届けよ 歌声

 

Treasure song

光が届くたび、眩しくて、泣きそうになった。
明日も、雨が降る、それでいいと思ったのに。

ああ、何度でも、言葉を交わそうか。
なんでも、いいんだ。
そこにいるのが、わかれば。

光が届くたび、眩しくて、泣きそうになった。
朝焼け、眺めよう。
いつまでも、眺めよう。

朝まで語り合い、温もりを確かめあった。
いつかの、あの春を、永遠と名付けよう。

このまま、どこまでも、歩いてゆけるだろうか。
信じていくことは、とても怖いことだけど。

朝焼け、眺めよう、いつまでも、待ってみようか。
信じてよかったか、わかるのは、終わったあとだ。

 

空と虹の境界

ずっと降り続けた 雨も止んで陽が射し込んだ
窓を開けてみよう 勢いよく花びらが舞った
眩む目を開け 空仰ぐ 目に映る 七色が

空間を越えて 届くものがあるなら
いつの日か歌った歌も 空高く架かる虹も

心を越えて 響くものがあるなら
いつまでも残せるのかな 僕たちの宝物を

声が聞こえてくる 遠い昔 聞いた歌声だ
窓を開けてみよう 風がカーテンを押し込んだ
揺らぐ影 躱してみれば 流れこむ 木々のリズム

時間をも超えて 残るものがあるなら
いつの日か作った曲も 空高く架かる虹も

遠くどこまでも 見渡すことできたら
間違った選択なんて なくしてしまえるのになぁ

 

town

小さな子供が駆けてく 笑い声が木霊する
それを誰かが見守る そんな見慣れた風景

温もりを忘れたとき 寄る辺を失くしたとき
思い出を数えてみる どれだけの優しさを見つけた?
それに気づけたか

ここでは幾つもの 暖かなものを見つけた
いくつの大切さを 僕達は守ろうとした?

大きな樹木が切られた 大きな建物が増えた
みんなは便利さを求め 町の賑やかさも増え続けた
それを見ていた

思えばこの町も いつしか姿を変えてた
いくつの思い出を 僕達は作り紡いだ?

気づけば僕達の 繋がりも形を変えた
長い冬を越えて 新たな季節が始まる

暖かな場所は 今も続いてますか?
守ろうとした場所は 今も残っていますか?

 

Little Girl

雨上がり 陽だまりの道を歩く
外はまだ少し肌寒い

どこまでも響き渡る
子どもたちの無邪気に笑う声
いつまでも覚えていた

きれいな花が咲いたよ
優しい風が髪を撫でたよ
今日もまた同じように

一人きりで ひたすら続く空をただ見据えてた
繰り返してくみたいな今日も
少し違った明日になればいいね

丘の上 見下ろした景色は
何一つ変わらずに美しい

どこまでもあたたかい
この町に住む人の優しさを
いつまでも覚えてる

きれいな花が咲くよ
優しい風が髪を撫でるよ
明日がもうこなくたって

一人きりで ひたすら続く空をただ見据えてた
もう繰り返すことのない明日でも
この胸は終わらない夢を刻み続ける